自分では普段滅多に使わない字種なので、その慣例などがよく分かりません。ほんの僅かな作例でしかありませんが、作業機に入っていた和文フォントで表示してみました。上から、
- ヒラギノ角ゴ Pro W3
- Osaka Regular
- 平成角ゴシック体 W5
- 小塚ゴシック Pro M
となっています。グレー表示が可変幅の従属英字、赤のアウトライン表示が全角固定幅英字です。
ヒラギノ角ゴでは従属英字の字送りを全角幅に再設定し、デザインはそのまま流用している様です。元々フトコロの広いデザインなので、これ以上の変更は不要としたのでしょうか。
Osaka では全角英字の方が幅広になっていますが、何故か天地寸法が小さくなっています。またよく見ると「G」の字体が変化しています。どうやら原型となった平成角ゴシック体の英字をそのまま流用している様子。その平成角ゴシック体もヒラギノ角ゴと同様、従属英字の字送りを再設定し、デザインはそのまま流用している様です。
小塚ゴシックの従属英字はかなり Condensed 気味なので、全角英字もしっかり用意されていました。M+ FONTS でもこの様に全角英字を追加していきます。
従属英字をそのまま流用している例もあるくらいですから、全角幅を満たす程の極端な文字幅にする必要は無さそうです。全角英字というと、どうも間の抜けた幅広の文字という印象が強かったのですが、あくまでもデザインを犠牲にする事無く、それでいて従属英字との区別が容易なデザインを心がけて行こうと思います。これからも自分自身で使用する機会は少ないかも知れませんが、将来 Extend 系の英字を追加制作する(かも知れない)時の為に、そのタタキ台となれる様に作業したいと思います。
Re: 既存和文フォントの全角英字
by 狩野宏樹
平成書体はもともと全角しか開発されておらず、半角やプロポーショナルの
英字は各フォントベンダが独自に作り直した物だったと思います。
全角文字に何が求められるかといえば、縦組みにした時に幅は凸凹しつつも
中心軸が揃うことではないかと思います。B の字幅を広げるのも、全角幅を
埋めるというより、中央に団子の串のように線を通した時に安定するような
形に持っていくことを目標にすべきではないでしょうか (小塚の C が全角で
口を閉じているのも、縦に並べた時の安定感のためでしょう)。
一般に全角幅を埋めるように作っている例が多いので、文字幅のメリハリは
無くなることが多いようで (「間の抜けた」形になる一因だと思います)、
広い文字がより広がる方向に行く Extended の 英字とは結構違うのでは
ないでしょうか。
Re: 既存和文フォントの全角英字
by ut
> 自分では普段滅多に使わない字種なので、
私も自分からはほとんど使わないのですが、
ニュースサイトでは頻繁に使われるので、
前から欲しいと思っていました。
毎日新聞もサンスポも日刊スポーツも全角英字を使っています。
http://www.mainichi-msn.co.jp/
http://www.sanspo.com/geino/geino.html
http://www.nikkansports.com/entertainment/top-entertainment.html
Re: 既存和文フォントの全角英字
by coz
> 全角文字に何が求められるかといえば、縦組みにした時に
> 幅は凸凹しつつも 中心軸が揃うことではないかと思います。(狩野さん)
なるほど。縦組みの用途を意識すれば、単純に横広にしなくてはならないという誤った呪縛から
解放されそうです。
> 広い文字がより広がる方向に行く Extended の 英字とは結構違うのでは ないでしょうか。
そうですね。その後、実際に作業を初めてすぐに気付きました。次のエントリの画像にある通り、Extended であれば更に横幅を広げる必要がありそうな「@CG」の各文字を、そうする気にはなれませんでした。
> 毎日新聞もサンスポも日刊スポーツも全角英字を使っています。(ut さん)
その件は常々不思議だったのですが、紙面用縦組版のテキストファイルをそのまま web の横組フォーマットに流し込んでいたりするからなのでしょうか。ともかくこれらのサイトでは結構な頻度で使用しているので、作業意欲も増してきました。
狩野さん、ut さん、ありがとうございました。
Re: 既存和文フォントの全角英字
by coz
改行タグの挿入を忘れてました。読みづらくて申し訳ありません。
一段目が M
+ P Type-1 Regular、二段目が M
+ 1P 用を想定して制作を始めた全角英数字の Regular です。「@CG」は M
+ P Type-1 のグリフそのままに、それ以外のグリフの文字幅を拡張しています。全角の字送りに見合った文字幅を意識しつつ、各グリフが持つ自然な大小関係を残したつもりです。その配慮が全角文字として中途半端な判断になってしまうのかどうかは今のところ分かりませんが、とりあえずこの調子で作業を進めてみたいと思います。三段目以降は上から順に、ヒラギノ角ゴ Pro W3、平成角ゴシック体 W5、小塚ゴシック Pro M です。
公開しました。今回の更新では M+ 2 のかな・カナ文字を全て見直しています。詳細は News をご覧下さい。
他の、いわゆるモダンゴシック系和文フォントと同様に、M+ 1 のかな文字もかなり作為的な字形となっています。そのデザインは、かな文字とその元となった漢字との関連性、文字が本来持っている手の動きの痕跡などを整理してしまう事で、ある種の目新しさ、現代性を獲得しています。反面、作為的なデザインが生み出す目新しさは今までの習慣と衝突し、拒否感や嫌悪感などを生み出す危険性もあります。そうした否定的な感情を打ち消す程のデザイン力が備わっていなければ、単なる読み辛い文字になってしまう訳です。また従来的な字形から離れるという事は、これまで長い歴史をかけて完成されてきた、可読性や視認性の高い字形から離れるという事なので、特に長い文章を表示し、読む場合に生じる抵抗を強いるという一面もあると考えています。目新しい文字を作る事は比較的に簡単かも知れませんが、それを文字として成立させる事は本当に難しいと感じています。
対して今回そのデザインを全面的に見直した M+ 2 のかな文字は、今まで通りに線の強弱を抑制する事でモダンゴシックとしての雰囲気を保持しつつ、更に従来的な字形やバランスを取り入れています。UI 用途としての簡潔さには欠けますが、本文表示の際の自然な読みやすさを目指しています。 M+ FONTS web 上のサンプル画像も更新してありますので、ぜひご覧ください。今まで M+ 1 のかな文字を利用されていた方、その違和感に馴染めなかった方はもちろん、M+ 2 のかな文字を使用中の方にも、新しい M+ 2 を試していただければ幸いです。
明日以降は、気分転換を兼ねて M+ 1 及び 2 用の全角英数字に取りかかる予定です。その後、今回の M+ 2 更新で得た感覚を元に M+ 1 のかな文字も見直します。その時点でカタカナの字形もある程度確定されていると思うので、半角カナ文字の制作にかかります。アクセント付き英文字などの特殊文字はその後の作業となります。
マ行の作業中、これまで修正した M
+ 2 のア行からハ行までが、いつの間にか太めになってしまった事に気付き再修正。拗促音、濁音、半濁音に展開する前で良かった。
M
+ 1 カタカナの修正中に感じた事を反映して M
+ 2 の方も修正、作業が進むほどに課題が増えてきます。
他に「ァェォガヵゴニユュヨョロ」を再修正。
拗促音の制作においても手を抜くつもりはありませんが、なるべく無駄な作業を減らしたいと考えています。拗促音の大きさは通常の文字に対して 80%、仮想ボディの中心を基点に縮小した後、100pt の文字寸法に対して 8px 下へ移動させています。thin の設計は 2px の線幅を指定した単純線なので、線幅指定を固定したままの縮小とします。black は縮小後に各要素を 0.5-1.0px 程度太らせて、曲線との繋がり具合を再調整します。ウエイトの中央に位置する medium は、通常の文字の medium と bold の中間ウエイトをブレンドツールで生成し、縮小します。最後に thin-medium、medium-black 間のウエイトを再びブレンドツールで生成し適宜調整。
他に「をん」を再修正。
Re: M+ 2 の修正 #9
by coz
「ろ」を更に修正。しかし「らるろ」が大柄なままで、字幅を狭めたいのだけど上手く行かない。もう少し粘ってから「わ」行に進む予定です。
それぞれの横棒の傾斜角をやや緩やかに、ただし円弧は少々きつめに修正。ほとんど見分けが付かないので参考画像は省略。日常的な確認作業のため、Safari.app と Terminal.app の表示フォントに M+ 2 を設定。ほぼ毎日、最新グリフで .ttf ファイルを更新しています。この 2-3 日で随分、修正作業の成果を感じる様になってきました。課題の残っている「ら」行を何とかするまでチグハグとした部分も残っていますが、結構まとまってきたと思います。英数字は、今のところ M+ P Type-2 を表示させています。先日公開した TESTFLIGHT 012 から字幅の設定を見直し、「普通のアルファベット」として癖の少ない字組みが表示される様になりました。時々ツボにはまった様に素直な表情を見せるフォントサイズ、スペリングの単語があって、しばし見とれてしまう事もあります(親馬鹿みたいなもの)。
何度でも書きますが、現職でいた頃は日々の作業をこなす事に精一杯でした。その作業の合間に、自分の望むデザインのフォントを自分で作る事ができたらどんなに素敵だろうと思っていましたが、実際にはそんな時間的、精神的な余裕、完成させる自信などありませんでした。色々あって、比較的自由に出来る時間を得て(家業をサボっているだけ)、またプログラム上のサポートをいただいて、当時は夢だと思っていたオリジナルフォントの制作が実現できたわけです。一つ一つの文字をデザインしている時、自分はその文字を彫刻作品に見立てて肉付けを増やしたり、微妙なラインを削り出したりしています。そうして出来上がった文字たちに魔法のスクリプトをふりかけると、一揃いのフォントとして生命が吹き込まれ、動き始めるわけです。その誕生の瞬間に立ち会う事のできる幸せ、感謝の気持ちは、どれほど言葉を重ねても決して満足に表現する事ができません。
IPA フォントとの
合成、改変
Sazanami フォントとの
合成に続いて、
Ume フォントとの
合成フォントも公開されました。それぞれの各種ディストリビューション用パッケージも揃ってきましたので、早速
LINKS ページを更新。
本文表示では「う」の字幅が狭く感じたので、ちょっとだけ拡げてみました。「g」は少々太めになっていたのを修正。
既存和文書体の漢字との相性について報告をいただきました。こちらで確認したヒラギノなどとの相性も合わせてまとめておきます。
| thin | = | (該当無し) |
| light | = | モトヤシーダ 1 |
| (該当無し) | = | 華康ゴシック W3 |
| (該当無し) | = | ナウ-GM |
| regular | = | ヒラギノ角ゴ W3、IPAG |
| (該当無し) | = | 華康ゴシック W5 |
| medium | = | ナウ-GB |
| bold | = | ヒラギノ角ゴ W6 |
| heavy | = | ナウ-GU |
| black | = | ヒラギノ角ゴ W8 |
M
+ 2「う」「え」の一画目を立て気味に、「g」メガネのブリッジ部分をヌケ良く修正。
M
+ M Type-2「g」を M
+ C Type-2 の字形に変更。
一段落したので、次の課題に進みます。最初に、M
+ 1 と比べても全く検証が足りていない M
+ 2 のかな文字を見直して行きます。自分の常用環境としても Safari.app に M
+ 2C、Terminal.app に M
+ 2M を設定し、日常的に確認します。次に気分転換も兼ねて、適当な頃合いから全角固定幅英数字の制作にかかる予定です。とりあえず今日は「あ」「い」「う」「え」「お」を見直し、cvs に commit しました。上段が修正後、下段のグレー表示が修正前の M
+ 2 Regular です。
良くも悪くも、まだ M
+ 1 の影を引きずっている気がします。今後の作業によってはもっと字面を小さくしたり、鋭角的な雰囲気を加える事になるかも知れません。下が M
+ 1 Regular です。
ついでに既存フォントのデザインを参考として掲示しておきます。上からヒラギノ角ゴ Pro W3、IPA ゴシック、平成角ゴシック体 W5 です。
それぞれ Thin、Light、Regular を修正。時間をかけたほど、意気込んだほどには変化が無く少々ガッカリ。まあ悪くはなっていないはずなので今回はここまで。
M
+ P での設定値を基本にして、線端処理に変更のあったグリフのみ修正しています。
先日、微妙な表情を与えてみたのですが、やはり元に戻します。「あぁ」と共にこれまでも何度か迷っていたのですが、情緒的な雰囲気は M
+ 2 に割り振る予定です。上段が M
+ 1 Regular、下段が M
+ 2 Regular。
結局原因が特定できなかった不具合ですが、
VLGothic の
Daisuke SUZUKI さんが確認されたところによると、freetype-2.2.1 で不具合が発生するものの 2.1.10 では正常に表示されている様です。